・少年王者舘の演劇『1001』を観てきた。
二進法に置き換えられた世界。
生死を賭けて終わりなき物語を紡ぎ続けたシェヘラザードの話法を借り、少年王者舘が今まで吐き出した数々のエレメントを、撹拌させ、混沌させ、融合させ、分裂させ、物語の中の物語の中の物語の中の物語の中に詰め込んで、ヒトのまばたく間に現出させる、魔法のよう 、量子論的千夜一夜物語。
http://www.oujakan.jp/1001.html
・少年王者舘の演劇を観るのはかなり久しぶりで、前に観たときは下北沢のスズナリという小さな劇場だったが、今回は新国立劇場小ホール。小ホールといえ、でかい。
・そのでかい会場を使って、すごいものを見せられてしまった。ハッキリ言って、ストーリーと呼べるようなものはない。始まりも終わりも曖昧なうちに始まり、終わる。いわゆる「前衛的」な演劇だ。にもかかわらずなぜ、こんなにも興奮して語りたくなるのかといえば、それをエンターテインメントとして成立させようという技工が呆れ返るほどの密度で詰め込まれているから。最近の作品なら、アイデアの密度でいえば『スパイダーバース』に比肩する。
・かけことば、舞踏、プロジェクションマッピング、手品、音楽、同じシーンのループ、再帰的構造、メタフィクション、量子論、観念論……観客が意味を理解しようとする僅かなラグを狡猾に突いてまったく別の角度のアクシデントが放り込まれる2時間20分。観劇中、何度「そんなことすんの!?」と驚いたかわからない。しつこいほどのサービス精神がすごい。それでいて、いったい何の話なのかサッパリわからない。
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