・今までこたつで寝ていた。
・動画に出ています。チンパンジーのくだりめちゃくちゃおもしろい。
・箱根に行ってきました。ポーラ美術館の特別展が終わる前に見たかったので。
・先週から高速バスを予約して、タイムスケジュールなども珍しくちゃんと組んでいた。多少の余裕を持って出発の15分前に到着した。のだが、出発ターミナルが東京駅八重洲口の高速バス乗り場だったのに、間違えてバスタ新宿に来てしまった。当然ながらもう間に合わないので、新宿発の別の旅券を買って行くことになった。空席を残して東京駅を発ったバスに思いを馳せつつ新宿から箱根へ。
・これまで箱根周辺に赴いたときは、なぜか必ず曇りだった。ちゃんと晴れた箱根に足を運んだのは今日が初めてかもしれない。いつも遠くにけぶっていた富士山が今日はよく見えた。富士山の大きさなんて散々言い古されているけれど、実際に目の当たりにすると「大きいな」という感動がある。その印象がなぜか写真だとうまく伝わらない。
私は、部屋の硝子戸越しに、富士を見ていた。富士は、のっそり黙って立っていた。偉いなあ、と思った。
「いいねえ。富士は、やっぱり、いいとこあるねえ。よくやってるなあ。」富士には、かなわないと思った。念々と動く自分の愛憎が恥ずかしく、富士は、やっぱり偉い、と思った。よくやってる、と思った。
・太宰治の『富嶽百景』という短編では、富士山についてあれこれ言っている描写がおもしろい。最初は、富士山の悪口から始まるが、そのすぐ後に「よくやってるなあ」である。
・グニュッとなっていてキモい。
・バスを降りて1キロを超える山道を歩いていたら、何のかわからない動物の背骨が落ちていた。肋骨も残っていたが頭部はなく、長さは30センチくらい。子どものイノシシか、タヌキか。さっきネットで調べたら、タヌキの骨がよく似ているように見えた。
・山の空気がつめたい。
・ポーラ美術館。木々が色づいていて、その合間にオブジェがぽつんと佇んでいるさまはなんともいえないよさがあり、平日の午前中ということもあって人もほとんどおらず、かなり贅沢な体験ができた。
・かなりVaporwaveだ。
・展示はどれもおもしろかった。現代のアート作家と古典を同じ空間に交ぜて配置する趣向。ピカソの作品と、ピカソに影響を受けて作られた作品がまぜこぜな部屋もある。
・アリシア・クワデの『まなざしの間に』という作品は体験型でおもしろかった。棒状のスタンドに電球がついているのだが。見る角度によってその明かりが点いたり消えたり、スタンドごと消失したりして見えるのだ。ガラスや鏡のパネルが巧妙な角度で設置してあるため、実像・ガラスの反射・鏡の反射の区別が揺らぐようになっている。
・横溝静の映像作品『永遠に、そしてふたたび』は、ふたつの映像を同時に再生する。引退したイギリスのピアニストの女性4人(いずれもかなり高齢)がショパンのワルツ第10章を弾き、もう片方の映像では、静かな庭の風景が映される。撫でるように鍵盤を弾く人もいれば、鍵盤に指を跳ね上げられるような動きで奏でる人もいて、その違いが興味深かった。絵画や音楽はある瞬間を永遠に閉じ込めるが、その内側では時間が動き続けている。その重ね合わせが露骨に出ているような感じがあってよかった。
・目当てだったセレスト・ブルシエ=ムジュノの『クリナメン v.2』も見れて満足。陶器の皿が、円形の流れるプールの中でぶつかりあって音をたてる。
・不規則に響く「コン」という音と、静かに水平移動する皿たちのバランスが絶妙で「ずっと見てたいな―」と思った。ある皿同士のぶつかりあいに着目していると、その皿がたてた音の響きが際立って聴こえる。とてもミニマルで静かな展示ではあるけど、最小限の仕掛けで出来事を同時多発させており、鑑賞者の意志でどれを前景化させるかが選べるところがインタラクティブでおもしろい。自分がめちゃくちゃなお金持ちだったら自宅にこれを置いて気が向いたときに眺めたい。
・眺めながら「皿に寿司とか乗ってたらおもしろいな」などと考えていた。
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