「鍋を見くびるな」2020年6月20日の日記

日記

昼寝をしたときに見た夢。夢特有の脈絡ない部分はカットしたり若干の辻褄合わせをしたりはしているけど、だいたいこういう夢。


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客船に乗っている。船首から船尾まで1キロメートルはあろうかという、大客船だ。

私は甲板で潮風を浴びながら水平線を眺めている。

なぜここにいるんだったか。そうだ。たしか、日本から太平洋を横断してアメリカへ向かうチケットを使って乗船したんだった。

この船、帰りの便は用意してあるのかな。なかったら、アメリカから自力で帰らないといけなくなるなあ……飛行機とか押さえないといけないのかなあ……と思っていると、友人たち数人が現れた。彼らの顔は不明瞭で、見覚えがなかったが、状況的に、彼らは私と親しい仲であるらしい。

友人たちと、とりとめのない話をする。やがて、ひとりがこんなことを言い出した。

「この客船には誰もいないような気がする」

そんなまさか、と思うが、たしかに、妙に静かだ。波の音だけが聞こえてくる。客船の平均的な賑わいというものがどれくらいなのかはわからないが、あまりにも静かすぎないか。

友人達を引き連れて甲板の周辺を歩き回ったが、誰も見当たらない。

気づくと真っ暗になっていた。電気のスイッチを消したかのような、あまりにも早い日没。

異常は他にもあった。船内に入れない。ドアに鍵がかかっており、中に移動する手段がないのだ。外が夜になっても、船内に明かりがつく様子はない。やはり、誰もいないのだろうか。だとしても、操舵士がいるはずなのではないのか。

不安を感じながらも、私は友人たちを連れて、船の外周を囲む細い通路を歩いた。携帯を見るが、圏外。太平洋の真ん中だから当然か。いや、そもそもここは本当に太平洋なのか?

黒い海と夜空の境目はとっくに区別がつかなくなり、船の照明設備はひとつとして起動していない。私たちはほとんど完全な暗闇の中で、携帯のライトを頼りに船外の通路をおそるおそる進んだ。

ぎゅっ

私の腰を、背後から誰かの手が抱いた。

私の友人だろうか。感触から、手はかなり小さく、子どものように思えた。

「誰?」

問いかけても、答えはない。

私は振り向くことができずに立ち尽くしていた。やがて意を決して、腰を抱く手を触ってみた。それが人間のものであれば安心できる気がしたのだ。

手はやはり小さく、子どもの手みたいだった。そこに体温を感じて、私は少しだけ安心感をおぼえる。しかし、その本人からの反応がなにもないのは不気味だった。

私は腕を後ろにまわし、腰を抱く手から腕を伝って、肩を触ってみた。身長120cmくらいだろうか。

首をなぞり、さらに上へ手を這わせる。

小さなあご。顔を触られているというのに、背後の子どもらしき誰かは、じっと動かない。

あごから上に指を動かすと、柔らかい突起が触れた。唇だ。さらに上へ。小さな鼻。そして皮膚越しに、眼窩の窪みを感じる。目の周りだ。男か女かはわからないが子供の顔なのは確かだ。

手をさらに上へなぞる。

しかし、手は、子どもの頭へと到達しなかった。私の指先は、再び眼窩の窪みをなぞった。

どういうことだ。答えはひとつしかありえない。

目の上に目が並んでいる。

背筋が凍りつくのを感じた。しかし、私は手を上へ這わせることをやめられなかった。

目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。目の上に目。

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