・そういう人もいるの新しいのが出てます。
・幾翔の父親登場。イケてますね。親子のキャラクターってどれくらい似ているべきなのかよくわからない。マンガみたいにそっくりな顔の親子など現実にはそういない。スネ夫の家族みたいになぜか夫婦まで顔がそっくりな家庭はもっと少ない。探せばいるんだろうけど。なぜか夫婦の顔まで似ている家族。
・話が逸れた。それはともかく、やはり南十字先生はイケている男が特にお得意なので、こういう回は嬉しいですね。父のたたずまいを考えるにあたって、『満願』(米澤穂信)に収録されている『柘榴』という短編小説に登場するキャラクターを参考にした。もちろん設定とかを似せてるわけじゃなくて、読みながら勝手に浮かんできたビジュアルイメージを利用したということなのでお間違いなく……。
・日本に帰ってきました。
・嘘です。まだ帰ってません。いま飛行機の中にいます。空中に、浮いています。九州と四国の間くらいかな。でもこれを更新する作業は家で行う予定なので、「日本に帰ってきました」も嘘ではないのか。
・この飛行機が墜落しなければ、あるいは帰国後の帰路で大型トラックにはねられたりしなければ……全員無事で旅を終えたことになりますね。楽しかったね台湾。あと3回くらい行ってもいいな。両替したお金、使い切れなかったし。
・最終日である今日は16時には空港に行く必要があったので、おのおのが適当に時間を潰した。

・朝、近所にある屋台で魯肉飯を食べる。小雨が降ってたけどすぐに止んだ。そういえば、コンビニで買ったビニ傘を忘れてきてしまった。インバウンドが置いていった傘って世界的にめちゃくちゃあるのでは。これで儲けている人がいそう。
・初日に食べたのとは味付けが違っていたが、こちらの魯肉飯ももちろん美味しい。さらに別の店で、もちもちしたクレープ生地で卵を包んで揚げ焼きしたようなものを食べ、ファミマで買った珈琲を飲む。
・そしてチェックアウト。空港のロッカーに荷物をいったん置いて、私はひとりでフラフラすることにした。みんなはフットマッサージ行ったりまた屋台に行ったりしたらしい。私は知らない人となるべく会話したくないのでマッサージを避けてしまった。一回くらいは受けてみたいが……。
・毎日ぜんぜんタクシーや電車を使わず、徒歩で平均20kmを歩き続けたおかげで、台北の地理がなんとなく頭に入った。東西に現代的な都市が広がっているのは大体わかったので、今日は空港を出て北にあてどもなく歩いてみた。

・途端にうら寂しい雰囲気になる。治安が悪いわけではなさそうだが、観光客向けの店は鳴りをひそめ、自動車整備場のように無骨な店が立ち並ぶ。平日の昼間ということもあり、徒歩で歩き回っている人間はまったくいない。

・そのへんの青い樽をのぞきこんだら、きくらげが大量に浮いていた。
・そのままさらに北に行くと、広い川に行く手を阻まれる。右手には大橋が架かっているので、そこに歩いて向かう。日差しがかなりしんどい。12月だというのに30度近いのではないか。すっかり忘れかけていた夏のしんどさ、イヤさというものを一気に思い出した。というかあんなにしんどかった夏の暑さを、もうすっかり意識の外側に追い出していた自分に気づき、驚いた。
・だーれもいない。車しか走ってない。ひたすら歩いて川を渡る。川は擬人化すれば「直立不動」といった感じの風情で、日本の川と違って流れの勢いみたいなものが目視できない。どっち向きに水が動いているのかよくわからなかった。

・河川敷に妙なものを発見。プールの腰洗い槽のようにみえるが、縦に長い妙な形をしている。写真をとってChatGPTに見せたら、ドラゴンボートの練習用設備であることを教えてもらった。龍の形をしたボートを複数人で漕ぐレースだ。テレビで見たことがある。なるほど。確かに毎回ボート実物を使うのは効率が悪そうだ。近くに中高一貫校があり、体育の授業をしているのも見えたから、もしかしたら部活のようなものがあるのだろうか。
・空港から数えて計1時間、北側にそびえる山の入り口に到達した。
・ネットで調べた限り、気軽なハイキングコースとして親しまれているらしい。ちょうどいい運動になるだろうと思ってやってきたのだが、徒歩1時間かかる距離と直射日光で想像以上に疲れてしまっており、一抹の不安をおぼえた。まあ登るけど。

・登ったが、誤算だった。普通にちゃんと登山だ。もちろん、高齢者が挑戦しても問題ない程度にはゆるい山なのは確かなのだけど、東京でいえば高尾山と同じくらいの覚悟はしないといけない山なのであった。香川県で参拝した金比羅さまを思いだす、ひたすら長いだけの小刻みな階段を、のぼってのぼってのぼるだけ。想像よりもずっと傾斜がキツく、危険ではないものの、リングフィットアドベンチャーの地味につらい部分がエンドレスで続くような苦しみを味わった。
・たまに東屋があり、腰をおろして休憩する。水色のワイシャツが、紺に染め直したのかと思うほどぐっしょり濡れていて、こんなに汗をかいたのかとそのとき初めて自覚する。そういえば全然トイレに行きたくならない。
・合計1時間くらいかけてようやく展望台にたどり着いた。景色はきれいだが、まあ低山なのもあり眺めはそれなりで、遠くに見える超高層タワーの方が標高高そうだし、うん……という気持ちに。タイワンリスの一匹くらい出会えるかもと実は期待していたもののそんなこともなく、これといったトラブルも見所もない登山に終わった。無目的な散歩はランダム性がおもしろく、方々でオススメしているわけだが、当然なんも起きないこともある。グループLINEでは私以外のみんなが集合してビールとか飲んで肉や餃子を食らっていた。汗だくの自分の写真を送ったら無視された。
・でも南国の植生を眺めながら上るのは楽しいし、道のりの変化も含めておもしろくはあった。すごいハプニングも出会いもなくたって「あ、こうなってるのねー」と思えるだけで旅は楽しい。
・で、同じ道を今度は下る。登りよりは遙かに楽だが、それでもつんのめる感覚がつま先に疲れを溜める。20分くらいかけて下山し、さすがにもう電車を使おうということで最寄り駅へ向かう。
・しかし普通徒歩で行かないような場所だからか、ナビに従っていたらおかしなルートをたどることになってしまい、気づいたら台湾の空軍基地に迷い込んでいて肝が冷えた。周りが軍服の屈強な男だらけになっていたのだ。怒られたりはしなかったけど。

・そのあとは、同僚が旨いと言っていた「popeyes」というハンバーガーチェーンのフライドチキンバーガーを食べに都市部に戻った。食べたら、はちゃめちゃにうまかった。台湾のフライドチキンはレベルが違うと誰かが言っていて、そんなわけねーだろ、と正直疑ってたけど、この店のを食べる限り確かにレベルが違う。かじったとき、効果音みたいに「サクッッッ」という気持ちのいい感覚があり、ジューシーでうまみが強いのに食べ応えが軽い。おそらく体重計に乗せても重さは0のままだろう。もし今後台湾に再訪することがあれば、絶対にまた行くであろう場所だ。
・とかなんとかやっていたらフライトの時刻も迫ってきて、電車に乗って空港へ。機内食で「ビーフオアチキン?」と訊かれ、ビーフと答えたらカレー牛丼だった。カレギュウも確かにビーフではあるが。味はおいしい。
・思い返すと食べてばっかだが、私は旅行するたびに異常な量動き回るので、毎回旅行後に体重が増すということがない。台湾に行くと必ず太ってしまうというのはよく聞く話だけれど、1日20キロ歩くとたぶん大丈夫なので、試してみるといいだろう。私は今回、台湾内で60km歩行した。なんかもうそれくらい歩かないと損した気分になる。タクシーや電車で移動しているとき「歩く機会を逃した」と、落ちているお金を拾い損ねたような感覚を抱くのだ。壊れてしまった、私は。
・ところで、機内食は二択から選ばせてもらえることが多いけど、あれって乗客が全員、特定の片方だけ選んだら足りなくなるのだろうか? その場合、最後の方にオーダーを訊かれる客は損していることになる。それとも、どっちも十分な量の在庫があるのだろうか。ということは、私が選ばなかったほうのチキンは廃棄されていたりするのだろうか。
・調べたら答えはわかりそうだが、いったん自分の中で保留しておこう。
・書き始めた時には四国にさしかかっていた飛行機だが、いまは静岡の南沖を飛んでいる。そろそろ着陸態勢に入りそうだ。激しく揺れる。そろそろ終わります。さようなら。



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有料部分の設定にミスがあるかもです。