「kiwi→shining」2020年7月3日の日記

日記

・動画に出ています。公募に川柳を送る企画です。こういうので採用されたことって全くないんだよな。

・動画でネタにした「サンガリア川柳庵」の過去の受賞作の名前を見たら、ツチヤタカユキ氏がいたので驚いた。ツチヤタカユキ氏といえばケータイ大喜利やファミ通町内会、オードリーのオールナイトニッポンをはじめとするラジオ番組などの常連投稿者として知られる伝説的なハガキ職人で、著書『笑いのカイブツ』によると1日にネタを2000個考えていた時期もあるという、誇張ではなく「寝ている時間以外の全てを笑いに捧げてきた職人」である。こんなところまで投稿しているのか……。すごい。


笑いのカイブツ

・『笑いのカイブツ』は、お笑いに取り憑かれた人間の異様な生きざまが克明に描かれていて迫力があり面白いのでおすすめできます。

・あまりに「笑い」に全振りした生き方にちょっとした恐怖を感じる内容でもあって、「ここまで常軌を逸した人間性の持ち主でも『おもしろいこと』を言えるのか」という驚きに由来している気がする。「お笑いなんて変わり者がやるものでしょ」と言われればそれはまあそうかもですね、なんですが、やっぱり根本的には「普通の人の普通の感性」があるからこそ人を笑わせられるものだと思っていたので。人数は少ないけれど、こういういびつさ、存在自体に「矛盾」を感じる天才には周囲に心当たりがある。この怖さって人に説明するのが難しいな。


・『寄生獣』って漫画がありますけど、私があれで一番怖いな、魅力的だなと思っているのは、人間とは全く違う生き物で異なる価値観を持つ「寄生生物」たちが「人間の言葉」で意志の疎通をはかる(寄生生物どうしの交流においてさえ言葉を使う!)ところだ。人間が人間のために(すなわち人間の常識や価値観や倫理を前提にして作った)言語を、人間と敵対する生物でさえ有用に用いることができる……という事実にはワクワクするし、言語の懐の深さを感じる。

・お笑いにおける「ボケ」というものも、その背景に「普通の人たちの普通の常識」が前提されていなければならないと思っていたし、少なくともその前提を共有できない人には「ウケるボケ」を繰り出すのは困難だと考えていた。しかしそれは違うのだ。

・『寄生獣』において寄生生物たちが選挙運動を使いこなして寄生生物にとって都合の良い環境を作り出そうとしたように、我々が共有している「前提」は、全く違う原理を生きる者たちにとっての「手段」となりうる。別の原理で生きる異物たちにだってその原理を理解することができるし、ときには異物であるがゆえに手際よく評価を集めることもできる。それを見抜く術は原理的に存在しないように思える。逆に言えば「自分がその異物……寄生生物に近いモノかもしれない」ということでもある。それが怖くて面白いのだ。

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