「ああ、もう、うんざりだ」
誰に聞かせるわけでもない独り言が、乾いた唇からこぼれ落ちる。
足の裏には潰れたマメの鈍い痛みがあり、全身が鉛のように重い。擦り切れた靴底を引きずるようにして歩く自分の足音だけが、やけに虚しく響いていた。
これまで、数え切れないほどの心霊スポットを探索してきた。血塗られた歴史を持つ廃病院、凄惨な事件が起きたという洋館、自殺の名所と呼ばれる断崖。しかし、ただの一度も幽霊を見たことはない。冷たい風が首筋を撫でる錯覚すら起きない。それでも私は、なんとしても幽霊に対面したいと切望し、あてもなく今日も歩き続けている。



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