私は現在、『そういう人もいる』という漫画の原作をやっている。

漫画原作といっても、原作者がどこまで作るのかは作品によって異なる。セリフと簡単な状況説明だけを書いた脚本を渡す人もいれば、コマ割りや人物の配置まで描いた詳細なネームを渡す人もいる。

私は後者だ。まずメモ帳で一話分のセリフやト書きを書き、その後、iPadのイラストアプリでコマを割り、ネームを作る。それを南十字先生に渡し、作画してもらうという形式である。
自分のへちょへちょ絵がすごくキレイに漫画化するので、毎回感動する。
私はセリフから話を考えている
ネーム作業はなかなか大変だ。絵を描くこと以前に、そもそも一話分の話を考えるのが難しい。
私の場合、物語の構成はセリフを考えながら作っていく。
「こういうセリフがあったらいいな」
「最後にこの言葉を言わせたい」
そのような断片を先に思いつき、頭の中で入れ替えながら、冒頭と結末をつなぎ、一話分の会話にしていく感じだ。吹き出しのパネルをくるくる入れ替えているというか。
もちろん、普通のメモ帳アプリでも文章の順番は変えられる。しかし、テキストを選択して切り取って別の場所に貼り付ける作業はそれなりに面倒だ。まだ使う場所が決まっていないセリフも、本文のどこかに置いておかなければならないし。
だんだん、セリフが最初から漫画の吹き出しとして存在していて、その吹き出し自体を動かしながら話を考えられたらいいのに、と思うようになった。
付箋アプリやホワイトボード、マインドマップなど、近いことができるソフトはある。ただ、「漫画の会話」を組み立てることだけを目的にしたサービスは、少なくとも私が探した範囲では見つからなかった。
そこで、自分で作ることにした。
吹き出しを並べてネームを作る「HAKU」
AIを使ってプログラムを書く、いわゆるバイブコーディングの環境がかなり整ってきている。私はChatGPTのCodexを使い、自分専用の漫画ネーム制作アプリを作った。

名前は「HAKU」である。
「科白(せりふ)」という漢字に「白」が入っているので、そこから名付けた。
HAKUは縦書き専用だ。画面は白と黒だけで、マインドマップのように要素同士を線でつなぐ機能もない。話を考えるために必要なものだけを用意した、かなり単純なアプリである。

使い方としては、まず思いついたセリフを次々に入力する。入力を確定するたびに、それぞれが独立した吹き出しになる。

吹き出しがある程度たまったら、それらをキャンバス上に並べる。画面の右側が話の序盤で、左側へ進むほど後半になる。セリフの前後関係を考えながら、吹き出しを動かしていくわけだ。

まだ使う場所は分からないけれど、捨てたくはないセリフもある。その場合は、吹き出しを画面の左端へ持っていくと、ストックとして保管できる。

吹き出しが一か所に集まりすぎて作業しづらくなった場合は、任意の場所に空白を挿入し、キャンバスの途中を広げることもできる。ページの区切りを入れることもできる。

誰のセリフなのかを示すためにキャラクターを登録したりする機能もある。
ただ、あくまで補助機能なので使わなくてもいい。
セリフ以外の情報も扱える

また、HAKUでは吹き出しの形を変更できる。通常のセリフは丸みを帯びた吹き出し、モノローグは角の丸い四角形、ト書きは枠線のない文字というように、種類を区別できる。

この違いは見た目だけではない。画面上の内容をテキストとして出力すると、吹き出しの並び順に従って、セリフやト書きが文章として書き出される。画面の右側にある吹き出しから順番に読み取り、左側へ進んでいく仕様だ。枠線を消した文字は、出力時にト書きとして扱われる。
つまり、画面上では漫画の会話として考えながら、最後には脚本形式に変換できる。
自分の考え方に合わせて道具を作る

実際にHAKUを使って一話分のネームを考えてみたところ、かなり使いやすかった。
当然といえば当然だ。自分が困っていたことを、自分の考え方に合わせて解決するために作ったアプリなのだから。
文章を書くためのソフトは数多くあるが、同じ「文章を書く」という作業でも、人によって頭の使い方は異なる。漫画のネームについても、全員に共通する最適な方法があるわけではないのだろう。私の場合はこういう方法が合っていた。
↓あんまり需要なさそうですが黒ウーロン茶マガジン読者向けにリンクを共有します。不具合とかけっこうあるかも。



コメント
リンクが表示されてないようです。
すみません!修正いたしました
ネームの描き方について丁度模索中だったので
ぜひ試用してみたいのですが、リンクが表示されていないのは私だけでしょうか…(黒ウーロン会員です)
修正いたしました。ご確認いただけますでしょうか。
ありがとうございます!
早速使っていますがめちゃくちゃ良いです